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最高裁判所第三小法廷 昭和36年(あ)1756号 決定 1961年10月31日

主文

本件上告を棄却する。

理由

被告人本人の上告趣意は、訴訟法違反、事実誤認及び量刑不当の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(本件犯罪事実はすべて被告人が第一審公判廷においてこれを自認し、その司法警察員及び検察官に対する各供述調書はすべてこれを証拠とすることに同意しており、右各供述の任意性を疑うに足るべき事跡を認められない。)弁護人服部邦彦の上告趣意は憲法違反を主張するけれども、差戻前の控訴審において第一審判決を破棄差戻する旨の判決に関与した裁判官が、その事件の再度の控訴審の審判に関与しても除斥されないことは、昭和二八年五月七日第一小法廷決定、刑集七巻五号九四六頁の判示するところであり、その他所論裁判官矢部孝、同中村義正に刑訴二〇条の除斥事由のあることは認められないから、所論は、その前提を欠くものというべく、同四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号、一八一条一項但書により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 石坂修一 裁判官 河村又介 裁判官 高橋潔 裁判官 五鬼上堅磐)

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